遠く 知らない街から 手紙が届くような

ビジネスにも自己啓発にも興味が無い経営者の嘆き

2023-01-01から1年間の記事一覧

何も起きない気がした 何かが起きる気もした

ふと永い眠りから覚めたときにはもう昼前を過ぎていた。ベランダから慣れない煙草を吹かしながら、空のやたら青さが今日もさえない一日を予感させた。そんな空白ともいえる時間を過ごしていると、確かに何も起きない気がした。それでもよかった。ただ、掌の…

『ストーナー』って平凡か?むしろ真逆だろ

最近各所で絶賛されている『ストーナー』を読んだ。 宣伝文句としては「これは平凡な教師の平凡な物語に過ぎないが悲しく美しい完璧な小説である」とか何とか。割と「平凡」とか「普通」とかそういった類の表現が強調されていたように感じる。 私にとって平…

夢から醒めない

夢から覚めて、ああ俺は随分前から既に壊れていたんだなと悟った。甘美な夢に足を取られいつまでたっても起き上がれなかった。 * 信じられるかい?あの頃僕は19歳で君は21歳だった…そして僕の記憶が正しければもう既に君は30歳になったはずだ。 初めて東京に…

知らない街から届いた手紙の様に

当時新卒入社したての頃、銀座のクラブで働いていた同い年の女の子とひょんなことで知り合いそれからしばしば会って酒を飲んだ。僕はホステスを職業とした女性と知り合うのはそれが初めてで最初の頃は緊張もしたものだが、お互い損なわれ続けることについて…

嘘をついている気がする

会社の人と話をしていると嘘をついている気持ちになる。 会社の人たちはとても仕事を頑張っている。少しでも生活を豊かにするために熱心に仕事をしているし真剣に打ち込んでいる。出世することに対して責任を負うのは嫌だが年収を上げるには必要なプロセスだ…

村上春樹の読者は他に何を読む

村上春樹の長編も短編もエッセイもほとんど読んだ。読むものがなくなって軽く絶望を覚えるくらいには僕は村上春樹を読んだ。 その他の作家の作品ももちろん読むが、やはり幻想と現実のちょうど良い居心地の物語とその浮遊感を一貫して描き続ける作家は中々い…