遠く 知らない街から 手紙が届くような

ビジネスにも自己啓発にも興味が無い経営者の嘆き

『ノルウェイの森』主人公による最高の ”口説き文句と台詞” を紹介する

ノルウェイの森』は僕が最も好きな文学作品のうちの一つと言ってもいいくらい何度も読み直した。そもそもこの作品と出会ったのは僕が中学2年生の頃であり、僕の人生を変えた作品と言ってもいい。初めてこれを読んだときの衝撃は本当に大きなものだった。

 

f:id:works_movie:20180317112427j:plain

 

さて、本作の一番の魅力はなにか?キャラクターの濃さと言っても良いかもしれないが、一番は主人公のキザなセリフではないだろうか。今回は主人公である渡辺がヒロインに投げかける口説き文句を紹介していきます。

 

ノルウェイの森』の主人公による最高の口説き文句はこれ

本当はたくさん好きなセリフはあるのだけれど、今回はヒロインに対する口説き文句に絞らせてもらおうと思う。実はこのうちの一つを実際に女の子に使ったことがあるのはもはや黒歴史を超えて笑いのネタにしているという事は言うまでもない。

 

ということで、主人公ワタナベの最高の口説き文句、紹介していきます。

 

1, 山が崩れて干上がる海

 

「すごく可愛いよ」

「ミドリ」と彼女は言った。「名前つけて言って」

「すごく可愛いよ、ミドリ」と僕は言いなおした。

「すごくってどれくらい?」

「山が崩れて海が干上がるくらい可愛い」

 

山が崩れて海が干上がるくらい可愛い…どんだけ可愛いんだよ!

 

しかしながら、流石である。どれくらいか?という質問を恐れている男性も多いなか、瞬時にこの気の利いた文句で返す彼の瞬発力は本当に羨ましい限り。彼女の要望に応えておきながら冗談めかしにすることで自分の気持ちをさらけ出すことを回避しているのだ(この時点ではまだ主人公はミドリという女性をそれほど求めてはいない)。

 

表現もユニークである上に、ヒロインでもある小林緑が素直でかわいらしく、やはりこの二人の掛け合いは最高というほかない。

 

 2, 春の熊

 

「もっと素敵なこと言って」

「君が大好きだよ、ミドリ」

「どれくらい好き?」

「春の熊くらい好きだよ」

 

春の熊くらい好き…訳が分からん

 

先ほどの会話に続き「どれくらい可愛いか」に引き続き「どれくらい好きか」訊ねられた主人公はまた訳の分からない返しをするのだが、やはり流石である。どう答えればいいのかわからずに閉口してしまい、雰囲気がしらけるという事を、この男は絶対にさせないのだ。つまらない男は一番いけない。

 

ちなみに主人公のワタナベは、ミドリに意図を問われ、春の熊を解説し始める。

 

「春の野原を君が一人で歩いているとね、向こうからビロードみたいな毛並みの目のくりっとした可愛い子熊がやってくるんだ。そして君にこう言うんだよ。『今日は、お嬢さん、僕と一緒に転がりっこしませんか』って言うんだ。そして君と子熊で抱き合ってクローバーの茂った丘の斜面をころころと転がって一日中遊ぶんだ。そういうのって素敵だろ?」

 

適当に言ったんじゃなかったのかよ!それとミドリが好きであることはどう関係あるんだよ!と突っ込みたくなるけれど、これもまた素敵なお話を披露してくれるワタナベという男のことがますますわからなくなる。彼はエピソードお化けで、このような気の利いたお話を女を口説くためだけにストックしているのだろうか?男として完全に負けを認めよう。しかし、彼と一緒に居たらいつまでも楽しく過ごせるに違いない。

 

3, 虎とバター

 

「君の着るものは何でも好きだし、君のやることも言う事も歩き方も酔払い方も、何でも好きだよ」

「本当にこのままでいいの?」

「どう変えればいいのかがわからないから、そのままでいいよ」

「どれくらい私のこと好き?」と緑が訊いた。

「世界中のジャングルの虎がみんな溶けてバターになってしまうくらい好きだ」

 

え、なんか急に素敵。

ちなみに僕はこのセリフを当時好きだった人に言ったことがある。恥ずかしげもなく言ってしまうのはやはり若さであり、このセリフがあまり彼女にはピンとこなかったのか、スルーされたのもいい思い出である。

 

しかし前半の主人公のセリフも中々素敵で、全世界の男どもにこのセリフを毎日3回朗読させたいほど良い。

 

番外編

最後に幾つか、作中のセリフを紹介していきます。

 

「一つ忠告していいかな、俺から」

「いいですよ」

「自分に同情するな」と彼は言った。

「自分に同情するのは下劣な人間のやることだ」

 

これは恐らく永沢(寮の先輩)と主人公の最後の対面のシーン。わからないようでわかる。すごく強い言葉で、突き刺さり、身に染みる思いでこのセリフを受け止めた。しかし人間、みんなそんな強くないからね。

 

「本当に同じことなんだよ。遅い目の朝飯と早い目の昼飯の違いくらいしかないんだ。食べるのも同じで、食べる時間も同じで、ただ呼び方が違うんだ」

 

これも永沢のセリフ。ただ言い回しが好き。というか永沢が一番好きなんだ。

 

「じゃあ私、革命なんて信じないわ。私は愛情しか信じないわ

 

これはミドリのセリフです。健気で素直な彼女のものの言い方がすごく好き。

 

結び

以上、僕が好きな口説き文句とセリフ。どうでしょう、読んでみたくなりませんでしたか。皆さんが思っているよりとっつきやすいと思います。村上春樹はあまり好きではないんですけど、これだけはいつまでも好きな作品です

 

という事で、初めての村上春樹作品としては最適だと思いますし、良かったら手に取ってみてください。本当に最高です。